睡眠時無呼吸症候群SASSleep Apnea Syndrome)は、睡眠中に何度も呼吸が止まった状態(無呼吸)が繰り返される病気です。

もっとも特徴的な症状は、『大きなイビキ』です。

いびきや不眠、夜間睡眠中に目が覚めたり(夜間の中途覚醒)、起床時の頭痛、日中の眠気などの症状があります。また、高血圧・不整脈などの循環器の疾患、呼吸器系の疾患などの合併症を引き起こすこともあります。そのうえ、日中の眠気のため、居眠り運転による交通事故を引き起こしやすくなります。

SASの症状

慢性の大きないびき

睡眠中の息が止まる感じや窒息する感じ

のどの渇き、頭痛

日中の過度の眠気
(特に居眠り運転)

疲労感による
自動車事故や
仕事中の事故

性格の変化

インポテンツ

など

SASに関する用語

無呼吸(Apnea)
10秒以上の気流の停止
低呼吸(Hypopnea)
10秒以上の気流の減少に酸素飽和度の低下もしくは中途覚醒を伴う場合
AHI(Apnea-Hypopnea Index)
1時間あたりのApnea-Hypopneaの数
睡眠時無呼吸症候群
AHI 5以上

CPAP 保険適用

AHI ≧ 20 Full Study PSG

AHI(REI) ≧ 40 Portable PSG

重症度分類:5~15(軽傷) 15~30(中等症) 30以上(重症)

成人の睡眠時無呼吸症候群診断と治療のためのガイドライン 2005.7.10より

SASの定義

A)自覚症状がある
 習慣性のいびき、日中過眠、夜間頻尿、覚醒時頭痛、知認知能力低下など

B)PSG(睡眠ポリソムノグラフィー)で10秒以上続く無呼吸
 または、低呼吸が一晩に30回以上、あるいは1時間に5回以上

※A+Bで症候群となり、Bのみでは症候群ではなく睡眠呼吸障害(SDB)である。

睡眠時無呼吸症候群のいろいろな症状

駒田一郎,田中俊彦. 「睡眠時」『快眠家族のススメ』. 恒星社厚生閣. 2007, 108p

睡眠時無呼吸が関連する疾患

睡眠時無呼吸症候群では、さまざまな心血管系疾患を高率に合併し、これらが予後を決定する重要な因子であることが明らかになっている。

上気動狭窄
扁桃腫大、小額症、軟骨無形成症
内分泌、代謝疾患
糖尿病、甲状腺機能低下症
脳血管疾患
脳卒中など
心血管疾患
狭心症、心筋梗塞、心筋症
その他
高血圧症、多血症など

SASの頻度(米国の報告)

日本の頻度(推測)

一般人口の2~4%以上(最低でも約200万人以上

睡眠(呼吸)障害の検査

PSG(Plysomnography:終夜睡眠ポリグラフィ)

PSGでは30秒1ページを基本に解析をします。30秒を1エポック(epoch)と呼び、このエポック毎にW(覚醒)、N1,N2,N3Rという睡眠段階を決定していきます。

脳波(EEG)、眼球運動(EOG)、頤(おとがい)筋電図(chin EMG)による睡眠段階判断ならびに中途覚醒反応の検出、鼻と口の気流、胸腹部の喚起運動、心電図、パルスオキシメーターによるSpO2測定などがPSGの基本的な測定信号です。

睡眠時無呼吸症候群の方によくみられる症状

  • 毎晩、激しいイビキをかくと言われる
  • 睡眠中、呼吸がしばしば止まっていると言われる
  • 睡眠中、寝返りや体動が激しいと言われる
  • 眠りが浅い
  • 睡眠中、何度も排尿のために起きる
  • 起床時、寝床が湿っている
  • 朝起きたとき、疲れを感じる
  • 朝、頭痛や頭重感がある
  • 日中眠たい
  • 日中居眠りをしてしまう
  • 仕事中、集中力が無くなる
  • 体重が多い
  • 血圧が高い
  • 就寝前にアルコールを飲む
  • 男性の方で、首回りが42cm以上ある